イタリア旅行記
2006/7/15〜7/22 

近々私が結婚するにあたって、両親の年齢も考えると一緒に海外旅行をする機会はもうないだろうという話になって。
家族旅行で初の海外、イタリアへ行って参りました。

●7月15日●
昼過ぎに家を出て、関空へ。
関空行き特急はるかが事故により徐行運転しているというハプニングに見舞われながらも、なんとか集合時間ちょい過ぎに関空到着。
無事出国手続きを経て、19時搭乗。
12時間の空の旅と相成りました。
・・・最短距離という事でロシア上空を飛んで行ったのですが、それでもやっぱりヨーロッパは遠いですね。


●7月16日●
日本時間では既に朝7時なのですが、イタリア現地時間では7時間遡って日付が変わったばかりの0時にイタリア入国。
即ホテルにチェックインして荷解きして布団に転がり込みましたが、それでも3時は祐に過ぎていたような。
睡眠時間3時間程で起床。
一日目の観光の始まりです(^^;)。
まずは「スフォルツェスコ城」へ。
昔の要塞の跡で、城壁がぐるりと廻らされている14世紀の建築物。
なかなかに立派なものでしたが、堀は埋められていました。ナポレオンに攻め込まれた時に。
どうも、イタリアにはナポレオンに支配された嫌な記憶があるようでして。
今年のW杯決勝のイタリア対フランスというのは、イタリア人にとって因縁の対決だったとか。
・・・知らなかったけど、やっぱり戦争の記憶ってどこの国でも影を落としてたりするんですね。

次は「ミラノ大聖堂ドゥオモ」。

イタリア最大のゴシック様式の建造物で、凄まじい数の尖塔に覆われた聖堂。
本気で凄まじかったです。
尖塔の数もそうだけど、びっしり彫像も彫られてて。どこから見ても素敵。
そしてその中ではちょうどミサも行われてて、荘厳な雰囲気でした。
ここで一つガイドさんに教えてもらった事。
ドゥオモってあちこちあるから聖堂とかそういう意味かなと思ったら、もっとはっきりとした意味合いで、「神の家」って意味なんだとか。
成程。

あっという間にミラノを後にし、ヴェローナへ。
中世の町並みが保存されていて、美しい景観。
シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の舞台でもあって、「ジュリエッタの家」とされている家の中庭を見学。
また、1世紀に建てられた古代の円形劇場「アレーナ」の前で写真撮影。

円形劇場はローマの「コロッセオ」のが有名だけど、こちらは未だ現役として『アイーダ』などが上演されていて。
・・・びっくりでした。

それにしても。
イタリアという国が発展しない事情は、一日目ですぐ納得できました。
どこもかしこも地下を掘ったら皆遺跡。
ミラノも地下鉄を作ろうとしたらしいのですが、掘ってみたら遺跡発見。
即発掘が始まり計画は取り消し。そして発掘が始まったら、どんなに街のど真ん中であっても10年20年はフェンスに囲まれてしまう。
だからできるだけ、地下を掘り返したくないそうな・・・。
贅沢な悩み、のようであり、深刻な問題でもあるようです(^^;)。

さて、ヴェネツィア付近のホテルにチェックイン。広いホテルでくつろいでたら、いつの間にか寝てしまってました・・・。


●7月17日●
水上バスを乗り継ぎ、水の都ヴェネツィアへ。
大運河やラグーナ(潟)が縦横無尽に走る都市。
・・・それが、泥に杭を打ってその上に作った島である事を私は知りませんでした。びっくり。
そしてそういう造りである為に、この都市の建物は出来る限り軽くしなきゃいけないから木造建築が主流なのだとか。
言われてみれば、木の梁とか見えるの。
イタリアって石造りの町で、例外はないと思ってたので新鮮でした。

さて、まずは「ドゥカーレ宮殿」へ。
かつて他の土地が貴族によって統治されていた時代、珍しい事にヴェネツィアは選挙と議会によって政治を行っていて。
ドゥカーレ宮殿はその時代の官邸だった場所だとか。
今は迎賓室や議場、裁判を行った部屋などにヴェネツィア派絵画や歴代総統の肖像画、武器などが展示されてました。
ドゥカーレ宮殿内の裁判所と隣の政治犯用牢獄は狭い通路で繋がっていて。
罪人が牢獄へ送られる時に渡った「ため息橋」を通って、牢獄内部も見学。
・・・牢獄を出る時、イタリア人ガイドさんが言った日本語が忘れられません。
「ココカラ皆サンハ、シャバニ帰レマスヨ〜良カッタデスネ〜(^^)。」
シャバって何。どこでそんな日本語習ってきたんですか・・・(遠)。

次に「サン・マルコ寺院」へ。

細かいモザイク画が幾つも外壁に取り付けられていて、素晴らしかったです。
寺院なのだけど、荘厳なお城って雰囲気でした。
ただ、中の見学はあっという間だったのが残念・・・。もう少しゆっくり中のモザイク画も観たかったな。

ヴェネツィアガラス工房を見学し、何気なくいろいろ買い物しちゃった後、昼食。
そしてヴェネツィアといえば・・・ゴンドラ。

6人乗りの小さなゴンドラに乗り込み、ヴェネツィアの迷路のような水路を通って遊覧。
優雅な感じで気持ち良かったです(^^)。ただし、めちゃくちゃ暑い・・・。

ヴェネツィアを後にし、一路フィレンツェへ。
車に酔ってしまって夕食をあまり摂れないままホテルへ。
でも添乗員さんがとても優しい方で、フルーツをサービスしてくれたので有難かったです。
今回の旅、いろんな面でかなり気が利く添乗員さんだったので、ほんと良かった(^^)。


●7月18日●
フィレンツェはルネッサンス発祥の地。
それはフィレンツェを統治していたメディチ家が芸術を庇護したからで。
その庇護の下、ミケランジェロやレオナルド・ダ・ヴィンチ、ボッティチェリなどが生まれた。
そしてルネッサンス期を代表する彼らの素晴らしい作品を多く所蔵しているのが「ウフィッツィ美術館」。
行って来ました。

medicineの語源になるくらい大金持ちの薬問屋だったメディチ家が、ひたすら蒐集した作品を一気にフィレンツェ市に寄贈した際、「フィレンツェ市から出さない事」を条件にしていたとか。
お陰様で転売される事なく美術館で一般公開され、今に至るのですが。
ほんとにお陰様で、有名で素晴らしい傑作でさえ貸出しできない為、ここでしか観れない作品となってしまっていて。
おまけに人数制限もしているものだから、予約して優先的に入れる時間に行かないと軽く2時間待ちの長蛇の列になってしまうとか。
・・・既に朝早くから並び始めてました(汗)。

展示されている作品の中で印象に残った絵は。
フィリッポ・リッピの『聖母子』・・・聖母マリアの優美で慈愛に満ちた横顔は印象的でした。つうか美人さんだなぁ〜って感じ。
ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』『春』『受胎告知』・・・生で観るとほんとに肌の色とかすごく綺麗で、髪の毛が繊細で。
                                   そしてそれぞれがテーマに添って表情豊かで、素晴らしかったです・・・。
ミケランジェロの『聖家族』・・・彫刻家でもあっただけに、筋肉隆々とした聖母マリアはあまりに印象的でした(笑)。
ラッファエロの『教皇レオ]世と二人の甥』・・・ほんとは『聖母子と洗礼者聖ヨハネ』の方が楽しみだったのだけど、修復中で残念ながら見れず。
                            でも、こちらの絵も衣類の質感などが素晴らしく、まるで写真のようでした。
その他いろいろ。ほんとに見応えあって良かったです(^^)。

ウフィッツィを後にし、数多の彫像が無造作に置かれている「シニョーリア広場」へ。
ここに有名なミケランジェロの『ダビデ像』があって、とりあえず写真撮影。
とはいえ酸性雨などの被害を避ける為に、本物は今は博物館の中に展示されているのだけどね。

そして素晴らしく派手な「花の聖母教会ドゥオモ」へ。
 
175年の歳月をかけて建てられただけあって、執念つうか粘着質的にレリーフが彫り込まれてありました。凄すぎ。
おまけに、ピンクとグリーンと白のコントラストが綺麗なのだけど、その色は着色したものではなくて。
すべて天然のピンク色・緑色・白色の大理石をそれぞれ使用していった結果なのだとか。
どれだけ金掛けて建てたんだコレ(滝汗)。
中に入るとステンドグラスや天井画などが並んでいて、落ち着いた感じ。
・・・なんでこんなにギャップがあるんだろ?てな感じでした(^^;)。

昼食に美味しいピザ(ただし一人当たりの大きさが有り得ない)を頂いた後、ユーロスター・イタリアに乗ってひたすら南下。
世界三大美港のひとつ、ナポリへ。
・・・駅からホテルに辿り着くまでに3回くらい轢かれそうになりました(遠)。


●7月19日●
ナポリ。風光明媚な南イタリアの都市として有名なのですが。
治安の悪さも大層なものでして、マフィアの一家の本拠地もあるそうな。
なんて恐ろしい・・・。
そして他の都市のイタリア人でさえナポリを運転する事はできないそうな。
あまりにも運転マナーが悪過ぎて。
他の都市だってとても良い運転とは思えなかったのですが、ここは本気で酷い。
右側を走るのがイタリア・・・のはずが、右も左もいろんな向きで走ってて。
わき道から猛スピードでメイン道路に突進して来たと思えばいきなり逆走。
クラクションはあちこちで鳴り響き、バイクは左右からいきなり車の前に入って来て、路面電車専用道路なんて存在していないに等しい。
そこを。手を挙げて。右左右の確認をして。人が渡る。
絶対轢かれるってコレ!!つうか道端に花束が置いてあったのが気になって仕方なかったんですけども。
あれは何?交通事故?それともマフィアの抗争に巻き込まれた人の為?

ま、まぁそんなナポリ式交通マナーの事は置いておいて。
あまりに危ない土地なので、いろんな遺跡があるにも関わらずバスの車窓観光のみ。
もったいなさ過ぎる・・・。

ナポリの港から船に乗ってカプリ島へ。
さらに水上タクシーに乗り込んで「青の洞窟」の前で待機。
小さな舟に乗り換えて寝そべった状態で入り口をくぐれば・・・そこは美しい蒼の世界。
 
石灰に太陽の光が反射して、海の色が神秘的なブルーに見えるのです。
ニュージーランドのテカポ湖と同じ原理だけど、あっちのがもっとミルキーブルーだったかな?
船頭さんが歌ってくれるカンツォーネが洞窟内に響き渡り、波間にたゆたう蒼色を眺める一時はほんとに素敵でした。

カプリ島からナポリに戻り、「ポンペイ遺跡」へ。
 
79年にヴェスヴィオ火山が大噴火を起こし、一瞬にして火山灰に埋もれてしまった古代都市、ポンペイ。
7〜8mもの灰に埋もれていた遺跡は、かつて商業都市として繁栄し2万人が暮らしていた当時の様子がそのまま残っていて。
どんな暮らしぶりだったのかがわかってとても興味深かったです。
たとえば。
雨の日に衣類が濡れないように家の入り口には飛び石が置いてあったり、商家の入り口は引き戸だったので溝が掘ってあったり。
夜、月明かりで足元を照らす為に白い石を道路に散りばめ、各所に公共の飲み水の設備があり、地面には水道管も通っていて。
浴場、売春宿、パン屋などは特徴的な設備・・・浴槽やベッド、竈、石臼などがそのまま見事に残っていて。
商家の部屋には絵が描かれていて、しかも1900年前に既に遠近法で描かれていたのにびっくり。
さらに・・・死者の跡も残っていたとか。
灰を時間を掛けて取り除く際、奇妙な形の空洞と人骨が発見されて。
空洞に石膏を流し込んで型を取ってみると、人の形になったそうです。
有毒ガスでほとんどの人は亡くなった為、うつぶせになった人や鼻をつまんだ人、妊婦や子供、その石膏の一部が展示されていました。
なんとなくちょっと怖かったです(^^;)。

38度を越す気温。酷暑、としか言い様のない炎天下をひたすら歩き回って見物するのは辛かったですが、面白かったです。

ポンペイを後にし、今回のツアーで観光する最後の都市、ローマへ。


●7月20日●
朝、添乗員さんが「今回のガイドさんはちょっとユニークな方なんですが、本人一生懸命なんで許してあげてくださいね」とおっしゃいました。
このツアー、各都市専門のガイドさんがそれぞれ付いて、冗談を交えながら詳しく説明してくれたのでとても面白かったのですが。
特に本日のガイドさんは面白いようです。昭和天皇に似た人。なんだそれ。
・・・と思ってガイドさんと合流してみたら。
漫談口調のほんとにユニークな方でした(^^;)。
なんつーか、外見:昭和天皇、中身:綾小路きみまろ、みたいな。
本気でびっくりしました(^^;)。

さて、まずはヴァチカン市国内「サン・ピエトロ大聖堂」。

外観・内装共に見事な装飾がなされ、彫像や絵画があちこちに飾ってありました。
特に有名なミケランジェロの出世作『ピエタ像』は・・・ほんとに素晴らしかったです。
なんというか、聖母マリアの憂いを秘めた表情、力なく横たわるイエスの手足、それがとても自然で。
あまりにも自然過ぎて、他者の入り込めない二人の空気が漂っている感じ。
厳かで、目が離せませんでした。


お土産にロザリオを購入して。
ヴァチカン市国を出国。イタリアに戻り、「コロッセオ」付近へ。

コロッセオ、フォロ・ロマーノと現存するローマ最古の凱旋門など、古代ローマ帝国時代の遺跡を簡単に見物し、「トレヴィの泉」へ。
バロック芸術の最高傑作と称えられるだけあって、豪華かつ大きな噴水でした。
せっかくなのでコイン一枚投げ入れて来ました(^^)。

午後はフリータイム。
41度の煉獄の中、熱のこもった石畳を歩くのは辛いので、タクシーで移動。
「パンテオン」を観て来ました。

現存する石造り建築では世界最古の神殿で、1900年前の物でありながらほぼ完全な形を残している建造物。
時を越えてそこに在る。ほんとに凄かったです。

少し歩いて噴水のあるナヴォ―ナ広場・『ローマの休日』で有名なスペイン広場を観て。
あまりの暑さにダウン。おまけにスリの多い街を個人で歩くのはとても緊張して疲れるので。
ホテルに帰って休む事に。

・・・帰りのタクシーはとても怖かったです。
陽気なイタリア人、鼻歌まじりに運転。ただしイタリア的運転で猛スピード。
そのまま老眼鏡かけてメールを打ち始めて。
えぇと、目の前バイクが止まってるんだけど、いつブレーキ踏むのかな〜?と思ってたら。
ぎりぎりのぎりで急ブレーキ。
・・・なんですかね、イタリア人は第六感で運転してるんですかね(遠)。


●7月21日●
観光最後の日。
午前中は再び高い壁の向こう側、ヴァチカン市国へ。
「ヴァチカン博物館」の見学です。


まずポンペイ遺跡で発掘された遺物の部屋。
神々の彫像や細かいモザイク画、レリーフの彫られた壺など。

次にタペストリーの部屋。
円山応挙の絵に良くある、立ち位置によって対象物の見え方が違うという画法の刺繍があって、びっくり。
既にこの時代から・・・(汗)。

次にレリーフの部屋。
と思いきや、レリーフに見えるように影を描いた、だまし絵の部屋でした。

・・・どう見ても素晴らしい彫刻だと思うのに、近づけば平面になる。不思議。

そして絵画の部屋。24金貼りの。凄まじく豪華でした。

ラッファエロの部屋などを見て回り。

最後に、この博物館のメインとなる「システィーナ礼拝堂」へ。
この礼拝堂、最近前法王が亡くなられた際に話題になった「コンクラーベ」が行われた場所。
そして、ミケランジェロの大作『天地創造』と『最後の審判』が描かれている場所。
ガイドさんの説明を聞いた後、礼拝堂に入って・・・前面の壁を見、そして天井を見上げました。
そこに描かれている『天地創造』の面白さ、『最後の審判』の鮮やかな色彩、そしてこの二つのフラスコ画の大きさに圧倒されました。
ほんとに、ミケランジェロって天才だったんだなって納得。
眼福って感じでした(^^)。

ヴァチカン博物館を後にし、空港へ。
再び出国手続きをし、チャーター便に搭乗。


●7月22日●
一路日本へ12時間空の旅。
行きと違って新しい機体だったのと、席が偶然広かった為、かなりくつろいでいられたので良かったです。
イタリア旅行の思い出を胸に、帰国。
ほんとに、いろんな意味で異国情緒たっぷり。
忙しい時期ではあったものの、はるばる家族と旅行できて、幸せでした(^^)。


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