USA イギリスと一緒に暮らして、最初は幸せだった。彼は俺にあらゆる物を与えてくれた。広大な荒野に一人ぼっちの俺を抱き、慈しんでくれた。それは今でも感謝してるんだ。でも宗主国からの干渉と要求が段々鬱陶しくなった。もう俺は子供じゃない。彼の庇護は必要じゃない。俺が、俺の国民が自由に生きたいと願った。一国として立ちたかった。彼と対等な一国に。 彼は勝手すぎると責めたけど、でも元から俺と君の関係は互いの利害の一致からなるものだろう?家族という名のオブラートに包んだところで、現実はそうだ。その利害が噛み合わなくなったのだから、仕方ないじゃないか。 だから。彼の温かな腕を振り払って、自由を求めた。それを赦さないという彼に銃口を向け対峙した。そして彼に俺という存在を認めさせた。弟でも家族でもない、一個の存在として。 でも、俺は、俺の中は複雑で混沌とした。彼から独立した事を誇りに思いながらも、彼を求めずにいられなかった。傍らに彼がいない事が嬉しくて辛かった。干渉されない事に満足しながら淋しかった。わけがわからない。俺が二人に分かれてしまったようだ。 苛立ちをぶつけるように、彼にまた銃を向けた。彼は信じられないという顔を見せた。傷ついたというような。でも結局彼も銃を手にとって俺に向けた。俺達はまた戦って、傷つけあって。それで何かが伝われば良かったのに。 戦いが終わったらまた不干渉。大人気ないったら。俺のことが気になるくせに、プライド高いから表立っては無関心を装う。性質悪いよ。だけど、もし本当に無関心になられたら・・・きっと俺は耐えられないんだろうな。彼から自由になりたかったはずなのに、なんだか前よりもっと縛られてる。常に彼の存在を意識して。なんで?俺に冷たい態度を取る君が憎らしい。ちゃんと俺を見てよ。俺は君の前に立ってるんだ。どうしてわかってくれないの?こんなにいつも君を想ってるのに。君の事しか考えられない。夢にまで見る・・・人。 二度の大戦を経て、同盟国として親密な関係になった。彼は俺の傍にいる。口煩い程俺に干渉してくる。やっと俺を見るようになったんだ。それが嬉しいのに何故か満たされない。もっと、俺だけを見て欲しい。俺が君でいっぱいなように、君も俺でいっぱいにして欲しい。 この想いの名を俺は知らない。ただひたすらに、君に焦がれてる・・・。 |